ADD日の出町
プロジェクトニックネーム
「ほうかごダンス教室」
実施地域
日の出町
西多摩郡に属する日の出町は、人口約16,500人。豊かな自然を活かした林業やセメント製造業などが根付いている一方で、ハイキングコースや温泉などが観光客の人気を集めています。また、いくつもの郷土芸能が盛んに営まれる伝統文化の町でもあります。「日の出町立志茂町児童館」を「ADD日の出町」の拠点として、地元の多様な芸能、ストリートダンス、バレエの初歩などを体験するワークショップを実施しました。
実施拠点
日の出町立志茂町児童館 東京都西多摩郡日の出町大字平井 1254-1
志茂町児童館は、日の出町にある唯一の児童館。中学生までの子供が対象で、図書室や遊戯室の他に、ボール遊びなどができる庭がある。また「じどうかん祭り」や「クリスマス会」といったさまざまな催しやクラブ活動も行っている。建物の2階は志茂町会館となっており、地域に伝わる志茂町囃子の稽古もここで行われ、平井川を挟んだ対岸の春日神社の祭礼で奉納される。
https://www.town.hinode.tokyo.jp/0000000121.html
プロジェクト構成
派遣舞踊家
菅原 小春
[ダンサー・振付家]
振付アシスタント:髙中 梨生
リサーチャー・振付アシスタント
中西 レモン
[アーティスト]
音楽(発表会):齋藤真文(アラゲホンジ)
制作:韓ヨルム(ラオックス・メディアソリューションズ株式会社)
共催:日の出町
リサーチ&ワークショップの記録 中西レモン+武藤大祐
1. リサーチ
東京都西部の多摩地区に位置する日の出町は豊かな自然が広がる。ADDのアドバイザー・佐藤美紀の、同町在住の親戚から伝手をたどり、様々な踊りに関わる方々とお会いすることができた。日の出町は郷土芸能が多く残る土地柄で、「日の出町郷土芸能保存会」の会合でご挨拶させて頂き、折々の行事や稽古を見学した。
リサーチ2. ワークショップ
ADDを日の出町で展開するにあたっては、「志茂町児童館」のスタッフである小峰知緒理さんがまず興味を示してくださり、町の子育て福祉課で児童館担当の小森公夫さんには何かれとなく支えて頂いた。児童館には、放課後の子供たちが集い、前庭でボール遊びをしたり、図書室で本を読んだり、遊戯室で卓球をしている。リサーチャーの中西レモンはたびたび顔を出しては一緒に遊んで(遊ばれて)いる内に、街中でも子供たちから「レモン!」と呼びかけられる存在になっていた。
ワークショップ3. 再始動:創作ワークショップ
日の出町ではすべてのワークショップが終わり、ダンスの創作に参加するメンバーがちょうど確定した頃、コロナ禍により中断。1年3か月もの休止期間を経て、オンラインで再開した(様々な事情で継続できないメンバーも出てしまったが、沖縄に移住した子がオンラインのおかげで参加することができた)。計15人の子供たちが自分たちで振付を考える作業に挑戦した。
再始動:創作ワークショップ4. 発表会
子供たちから出てきたモチーフを、髙中さんが中心となってダンスのフレーズへと整理し、菅原さんとともに音楽に合うようつないでいった。音楽は、日の出町で録音した志茂町囃子、鳳凰の舞、ブルー・パラダイスの演奏を、ミュージシャンの齋藤真文さんがリミックスしてつないだオリジナル音源である。
発表会ADD日の出町鼎談
地域の先輩 ADD日の出町ワークショップ講師
ロケラニ和子
ろけらに かずこ
玉の内獅子舞保存会
たまのうちししまいほぞんかい
佐藤 美紀
さとう みき
鳳凰の舞保存会
ほうおうのまいほぞんかい
桜木囃子保存会
さくらぎばやしほぞんかい
MUSKYダンススタジオ・FUUMIN
長谷川 和子
はせがわ かずこ
志茂町囃子保存会
しもちょうはやしほぞんかい
ADDに参加した皆さんの声
「初めてのことだったので、どんな風になるか楽しみにやらせて頂きました。国指定の無形文化財ですから、世間の人みんなに知ってもらえれば幸せだなと思います。地域の伝統的なもので、昔から男の子にしか教えてこなかったので、女の子に教えるということはなかったのですが、いい機会だなと思いました」
宮野憲一さん(鳳凰の舞保存会)
「伝統芸能を地元だけでなく広く、色んな子供に知ってもらえたので、保存会ではみんな喜んでいました。こういう風な踊りや音楽があるんだなということを感じて頂いたのは嬉しいですね。現在のいわゆる『ダンス』とは違う踊りなので、それにふれることで、伝統文化がどんなものかを感じてもらえていたらいいなと思います」
青木勝之さんさん(志茂町囃子保存会)
「とても良い企画でした。子供たちにとっても財産になったと思います。本来であれば児童館の近くの子供だけでなく、町内全地域の子供も参加できるように、もっと大がかりにしても良かったと思うけど、対応できる施設がなかったのがちょっと残念でした。日の出町なら自然の豊かさを前面に出して、屋外実施するとか、天然芝のサッカー場で実施するとかも面白いと思いましたが、このコロナ禍の影響で日の目を見ることはありませんでした。ワークショップ終了後、バーベキューに行くとかも少し期待しましたが、とにかくコロナで遠隔になってしまったのがくやしい。今後については、運営主体になってくれるような、ちょうどいい若い人が出てきて、この続きをまたやれたらいいと思います」
小森公夫さん(志茂町児童館)
「楽しかったです。菅原小春さんのが楽しかった。難しかったけど、ダンスの中身が楽しかった」
「お囃子とか、小春さんの激しいダンスとか、色んなダンスが楽しかったです。フラダンスは、ゆったりとした、リラックス要素がある感じがした」
子供たち
「最初はどんな感じになるのかな、ってドキドキしてたところもあるんですけど、日の出町にある文化を使って踊りを作っていくということで、回数を重ねていく内に、こういうことだったんだ、って目に見えてわかってきました。子供たちの、普段とはまた全然違った豊かな表情が見られたので、やって頂いて感謝しています。どの回も印象深かったですが、とくに菅原小春さんの、子供たちを引き付ける力がすごいなと印象に残りました」
小峰知緒理さん(志茂町児童館)
プロジェクト概要
プロジェクトロゴ
会場:日の出町立志茂町児童館、日の出町やまびこホール
対象:日の出町在住の小学生・中学生
参加:無料・要事前申込
参加募集コピー:
菅原小春がやってくる!ダンス教室 参加者募集!
Tokyo Tokyo FESTIVAL スペシャル13「放課後ダイバーシティ・ダンス」では、ADD日の出町ワークショップ「ほうかごダンス教室」をスタートします。日の出町でダンスに関わるさまざまな方々(地域の先輩)と、派遣舞踊家の菅原小春が講師となって、地域の子供たちにダンスを教えます。ダンス経験がある人もない人も参加可能です。さらに教室での経験を活かし、菅原小春とのダンス作品づくりにも挑戦できます!
ワークショップ募集チラシ
リサーチ
2019年4月〜9月
ワークショップ
第1回 2019年10月3日(木)
講師:菅原小春(コンテンポラリーダンス)、ロケラニ和子(フラ)
第2回 2019年10月26日(土)
講師:玉の内獅子舞
第3回 2019年11月16日(土)
講師:中西レモン(盆踊り) アシスタント:にゃんとこ
第4回 2019年11月30日(土)
講師:佐藤美紀(コンテンポラリーダンス)
第5回 2019年12月14日(土)
講師:菅原小春(コンテンポラリーダンス)、鳳凰の舞保存会
第6回 2019年12月21日(土)
講師:桜木囃子保存会
第7回 2020年1月18日(土)
講師: MUSKYダンススタジオ・FUUMIN(ヒップホップ)
臨時開催 2020年1月22日(水)
講師:長谷川和子(バレエ)
第8回 2020年2月1日(土)
講師:菅原小春(コンテンポラリーダンス)
第9回 2020年2月8日(土)
講師: 志茂町囃子保存会
ワークショップ(再始動)+発表会
*すべてオンライン開催
第1回 2021年5月23日(日)
講師:髙中梨生(コンテンポラリーダンス)
第2回 2021年5月29日(土)
講師:菅原小春(コンテンポラリーダンス)
第3回 2021年5月30日(日)
講師:菅原小春(コンテンポラリーダンス)
派遣舞踊家
菅原 小春 すがわら こはる
[ダンサー・振付家]
幼少期に創作ダンスを始め、小中高生の時に数々の有名ダンスコンテストで優勝、早くから注目を集める。2010年に渡米し、独自のダンススタイルが高く評価され、Rihannaなどのトップアーティストのバックダンサーとしてのキャリアを積み、海外でも一目置かれるダンサーとなる。2015年スティービー・ワンダーとのCM共演が話題となり、2016年、2017年と自らが演出を行った単独公演 SUGAR WATERを成功させる。また、2016年の紅白歌合戦で坂本冬美、蜷川実花、2018年の紅白歌合戦では米津玄師との共演。NHK2020応援ソング「パプリカ」では振付を辻本知彦と共作する。2018年には黒田育世の舞台「ラストパイ」で主演、2019年NHK大河ドラマ「いだてん」にも出演し、女優としても活動の幅を広げている。現在までに世界35ヵ国以上を一人で飛びまわり、ワークショップやショーを行う傍ら、TVCM、ラジオ、ファッション誌などにも登場。
振付アシスタント:髙中 梨生
リサーチャー・振付アシスタント
中西 レモン なかにし れもん
[アーティスト]
主な活動として盆踊りのフィールドワークをはじめ、展示・パフォーマンスなど。現在は歌・踊り・図像をもとに「文化の移入と変容」をテーマとしたアートワークを行っている。郷土芸能に取材した絵画展「掛唄」(2002年)。ダンス・パフォーマンスに関する上演企画「畳半畳」(主催 2004~2014年)。滋賀県発祥の盆踊り唄・江州音頭を学習する会として、初代桜川唯丸江州音頭通信講座・モノガタリ宇宙の会(世話人 2015年~)。江戸期に中国より輸入された絵画技法書を教科書とした絵画勉強会「懐烟画譜」(画家・高村健志との共催2016年~)。瓦版などで流布した庶民の歌などを読み解く勉強会「庶民の芸能を読む会」(2017年〜)。参加「習いに行くぜ!東北へ!! 鮫神楽を習う」(2017年~)。編集に『インタビュー・資料集 豊島の盆踊り音頭』(2014年、てしまのまど)など。
ロケラニ和子
ろけらに かずこ
日の出町出身。健康と地域のためにできることをと思い、以前より興味を抱いていたフラダンスに挑戦。教室に通いながら知人を誘い、現在は地元フラダンスチーム「レイナニレフアひので」のリーダー兼指導者として、地域のハワイアンバンド「ブルーパラダイス」とジョイントしながら地元を中心に活動。
玉の内獅子舞保存会
たまのうちししまいほぞんかい
関東を中心にみられる、頭部に獅子頭をかぶり、腹部に太鼓を括り付け、三匹が同時に舞う様式の三頭立て獅子舞で、日の出町では唯一の保存団体である。かつては雨乞いなどにも奉納され、現在は毎年8月の第二土曜日に、町内玉の内地区の三嶋神社例大祭で奉納されている。町指定重要無形民俗文化財。
佐藤 美紀
さとう みき
ダンサー、振付家としてカナダやオランダ、香港をはじめ国内外のプロジェクトに多数携わる。その時の経験をもとに、コンテンポラリーダンスを軸としながら、プロデューサー、ファシリテーター、コーディネーターとしても多様に活動する。日の出町で103歳まで元気に過ごしていた祖母を持つ。
鳳凰の舞保存会
ほうおうのまいほぞんかい
下平井の鳳凰の舞は、奴姿の子供たちが扇と木刀を持って演じる「奴の舞」、太鼓にあわせて勇壮に舞う「鳳凰の舞」から構成される他に類例のない民俗芸能であり、かつては雨乞いに行われた。国指定重要無形民俗文化財。
桜木囃子保存会
さくらぎばやしほぞんかい
昭和61年、地元有志が小金井の貫井囃子保存会の指導をうけたところから始まる。日の出町唯一の目黒流祭囃子であり、童謡を織り込んだ囃子に、けん玉を取り入れた踊りなど、楽しく親しみやすいお囃子が持ち味。
MUSKYダンススタジオ・FUUMIN
高校時代に地元福岡でダンスを始め、3ヶ月後にはコンテストで優勝。そこから数々のコンテストで経歴を残し、九州最大のダンスバトルでは福岡代表に抜擢。上京しHIPHOPのLegend達の元でHIPHOPの基礎を学び、現在は関東の様々なスタジオでLessonを行っている。
長谷川 和子
はせがわ かずこ
日本バレエ協会正会員。プティ・エトワールバレエ主宰。元スターダンサーズ・バレエ団所属。国分寺にプティ・エトワールバレエスタジオを開設。1981年より日の出町大久野スタジオでの指導も行う。猫大好き。
志茂町囃子保存会
しもちょうはやしほぞんかい
江戸時代に現在の葛飾区で生まれた祭囃子は、江戸を中心に広がりを見せた。そうした囃子の一つとして、埼玉県所沢で古谷重松(ふるや じゅうまつ)により創始されたのが重松囃子である。志茂町囃子は明治18年、重松が当時の平井下宿に滞在し、地元の若者にその囃子を伝えたことに始まる。重松流祭り囃子は町指定無形民俗文化財であり、志茂町囃子保存会はその認定団体である。
ADD港区
ADD国立市
ADD日の出町