ADD港区
プロジェクトニックネーム
「ほうかご ダンス×ダンス remix」
実施地域
港区
東京の中心部にある港区は、人口約146,000人。メディアやIT企業、外資系企業の他、日本にある世界各国の大使館およそ140のうち約半数が集中しており、多様な出自の人々がともに暮らしています。「ADD港区」は「港区立麻布子ども中高生プラザ」を拠点として、アフガニスタンや中国、ブラジルなどの伝統舞踊から、現代のダンス、そして地域で盛り上がっている盆踊りなど多彩なワークショップを実施しました。
実施拠点
港区立麻布子ども中高生プラザ 東京都港区南麻布4丁目6-7
麻布子ども中高生プラザは、赤ちゃんから高校生世代を対象にしている施設。児童館、学童クラブ、こそだてひろば、ゆうぎしつ、創作活動室、音楽室、学習室、アリーナ(体育館)、屋上にはローラーブレード場といった多様な施設を備え、各世代向けに様々な催しが企画されている。自然豊かな有栖川宮記念公園のほど近くに位置し、建物の1階には「区立本村保育園」、3階には「区立ありすいきいきプラザ」(高齢者福祉施設)が入っている。
https://azabu-plaza.jp/
プロジェクト構成
派遣舞踊家
尾上菊之丞
[日本舞踊家・振付師]
リサーチャー
福留麻里
[ダンサー・振付家]
振付アシスタント
ストウミキコ
[振付家]
制作 : 岩中可南子、市川喜愛瑠
共催 : 港区麻布地区総合支所
協力 : 公益財団法人児童育成協会、港区麻布子ども中高生プラザ
リサーチ&ワークショップの記録 福留麻里+ストウミキコ+武藤大祐
1. リサーチ
各国の大使館が集まり、外国人も多く、まるで東京の中に「世界」があるような港区。ADD港区の拠点「麻布子ども中高生プラザ」のある麻布を中心に歩いたり、色々な方のご協力や縁も繋がっていき、さまざまなダンスを見つけることができた。まずは情報収集のため、区民センターや図書館へ。色々なダンス教室の案内や、いくつかの面白いチラシが目に留まった。
リサーチ2. ワークショップ
ADD港区の拠点は「麻布子ども中高生プラザ」。幅広い年齢層、多様な国籍の子供たちが放課後に集まり、賑やかだ。遊びやスポーツ、ゲームの施設がある他、イベント、クラブ活動も充実している。そうした中にADDのワークショップ「ほうかごダンス×ダンスremix」を加えて頂き、実施した。事前に申し込みしてくれた子だけでなく、「何やってるの〜?」と通りすがりに興味を持ち、参加する子も多かった。
ワークショップ3. 再始動:創作ワークショップ
港区では7回目のワークショップの後、コロナ禍により中断を余儀なくされ、1年4か月の休止期間を経て再始動。4日間の短期プログラムを組み、参加する子供たちを募集した。集まった6人の内、4人は初めての参加だった。福留麻里からバトンタッチしたストウミキコがファシリテーターとなり、、子供たちは白波瀬さん(カポエイラ)、正木さん(フラメンコ)、小島さん(手話)、ファン・レイさん(中国古典舞踊)、そして菊之丞さんからそれぞれ初歩を習った。初登場のファン・レイさんには、リズムを軸とする他の踊りとは対照的に、呼吸を意識しながら流れるように動く踊りを教えて頂いた。さらに菊之丞さんの発案で「鳥獣戯画」を発表会の全体モチーフに据えることになり、それぞれの踊りの中から動物を模した動きも覚えた(フラメンコは牛、カポエイラは猿と蛙、中国舞踊は鳥、日本舞踊は兎と狸)。
再始動:創作ワークショップ4. 発表会
プラザ内の体育館(アリーナ)に舞台と客席を設営し、保護者や関係者を観客に招いて、子供たちが習った踊りを一つずつ講師とともに披露。冒頭では手話で「みなとく ちょうじゅうぎが」とタイトルを表した。「鳥獣戯画」にちなんで墨画風の色に染めた揃いの衣装をつけ、照明の当たる舞台に立った子供たちは、カホンやギター、太鼓などの生演奏をバックに、程よい緊張感のもと集中したパフォーマンスを見せた。後半はゲーム形式で、習った動きをランダムに選んで踊ったのち、フィナーレでは子供たちオリジナルの動物の動きで円舞、客席を大いに沸かせた。
発表会ADD港区鼎談
地域の先輩 ADD港区ワークショップ講師
北島 由記子
きたじま ゆきこ
Uni mama
ゆに まま
小島 泉
こじま いずみ
正木 清香
まさき さやか
平島 聡
ひらしま さとる
岩井 隆浩
いわい たかひろ
M. アシュラフ・バブリ
Mastana/上村 菜々子
ますたな/かみむら ななこ
白波瀬 立
しらはせ りゅう
ADDに参加した皆さんの声
「色んな国の踊りが知れて楽しかったです」
「中国の、鳥のダンスが一番楽しかった。肩が疲れたけど、きれいだなと思いました」
「またやりたい」
子供たち
「先生たちがフランクに、親しみをもって教えてくれたので、子どもたちも『習ってる』というより純粋に『遊んでる』。だからこそ色んな種類のダンスや表現が染み込んでいくし、それを子どもたちが咀嚼して自分なりの形で表現していくというのが、すごくいい体験だなって思いました。遊び感覚だけど、最後はちゃんとステージがあって、緊張感、メリハリがありました。子どもたちからも『またやりたい!』っていう声が上がったので、うまく拾ってあげられるといいですよね。場を作ることで、機会を設けてあげたいなと思いますね」
山本博之さん(麻布子ども中高生プラザ)
「オフィスワーカーなので、子供と一緒に何かをすることはあまりないんですが、今日やってみて、私も子供と踊れるなあと、自信をつけてしまいました(笑)」(バブリさん)
「アフガニスタンはちょっとイメージが怖かったり暗かったりするんですけど、大変な面だけでなく、こういう美しい文化とか、かわいいものとか、恋をしたり、幸せな時間がある、っていうことに気付いてもらえたら嬉しいなと思います」(上村さん)
アシュラフ・バブリさん&上村菜々子さん
「子どもたちが、普段の遊んでる姿と違って、真剣な表情で取り組んでるのがすごく印象的でした。普段は新体操をやっている子が、カポエイラにハマった、って言ってくれています」
渡邉千里さん(麻布子ども中高生プラザ)
「ADDでは地域の子供たちと踊りを通じた会話ができて貴重な経験となりました。特に私が担当したポップでは、技術的な踊りよりもイメージや言葉の表現によって動きを共有して踊りに繋げていく行為だったと思います。またそれが、形となりコミュニケーションに発展していく現象を間近で体験することができてとても幸せでした。土地と踊りが掛け合わさって人が繋がっていく美しさを感じることができました。最高です」
岩井隆浩さん
「子どもたちだけでなく私自身も、色々な国のダンスや文化に触れるいい機会になりました」
麻生加奈子さん(麻布子ども中高生プラザ)
プロジェクト概要
プロジェクトロゴ(イラスト:Aokid)
会場:港区立麻布子ども中高生プラザ、港区立ありすいきいきプラザ
対象:小学生〜高校生世代 ※港区立麻布子ども中高生プラザの利用登録者
参加:無料・要事前申込
参加募集コピー:
日本と世界のいろんな踊りを remix !? ダンスワークショップ参加者募集!第一線で活躍するプロの舞踊家と、港区でダンスに関わる様々な方々からいろんなダンスを習うワークショップ。日本と世界の多様なダンスを体験できます。カッコいいダンス、美しいダンス、伝統のあるダンス、「これはダンス?」なダンス。沢山のダンスや考え方を吸収したら自分だけのオリジナルダンスをつくれるかも?
ダンス経験があってもなくても、国籍や言葉が違ってもOK。麻布子ども中高生プラザ に登録した子供たちは参加できます。
ワークショップ募集チラシ(日本語版)
リサーチ
2019年4月〜9月
ワークショップ
第1回 2019年11月29日(金)
講師:福留麻里(コンテンポラリーダンス)、北島由記子(盆踊り)
第2回 2019年12月10日(火)
講師:Uni mama(からだワーク)、小島泉(手話)
第3回 2019年12月19日(木)
講師:尾上菊之丞(日本舞踊)、正木清香(フラメンコ)×平島聡(カホン)
第4回 2020年1月11日(土)
講師:尾上菊之丞(日本舞踊)、岩井隆浩(ポッピング)
第5回 2020年1月20日(月)
講師:尾上菊之丞(日本舞踊)、福留麻里(コンテンポラリーダンス)
第6回 2020年1月29日(水)
講師:尾上菊之丞(日本舞踊)、M.アシュラフ・バブリ & Mastana/上村菜々子(アフガニスタン舞踊)
第7回 2020年2月5日(水)
講師:尾上菊之丞(日本舞踊)、白波瀬立(カポエイラ)
第8回 2020年2月28日(金)
講師:岡啓輔(舞踏)[中止]
第9回 2020年3月8日(日)
講師:濵田ひろみ(琉球舞踊)、ファン・レイ(中国古典舞踊)[中止]
第10回 2020年3月22日(日)
講師:川上直人(ブレイクダンス)[中止]
ワークショップ(再始動)+発表会
第1回 2021年6月1日(火)
講師:尾上菊之丞(日本舞踊)、正木清香(フラメンコ)
第2回 2021年6月6日(日)
講師:尾上菊之丞(日本舞踊)、ファン・レイ(中国古典舞踊)、白波瀬立(カポエイラ)
第3回 2021年6月8日(火)
講師:尾上菊之丞(日本舞踊)、小島泉(手話)
第4回 2021年6月13日(日)
関係者向けの発表会
派遣舞踊家
尾上菊之丞 おのえ きくのじょう
[日本舞踊家・振付師]
尾上流四代家元。2011年、尾上流家元を継承し三代目尾上菊之丞を襲名。流儀の 舞踊会「尾上会」をはじめ「逸青会」(狂言師茂山逸平氏との二人会)、古典芸能オンラインサロン「K2 THEATRE」(藤間勘十郎氏と共同)を主宰。日本舞踊界初の全編ロケ作品『地水火風空そして、踊』では作・演出、フュギュアスケート『LUXE』では監修・演出を勤める。振付師としては『風の谷のナウシカ』、スー パー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』等、新作歌舞伎を手掛ける。
リサーチャー
福留麻里 ふくとめ まり
[ダンサー・振付家]
2001年より新鋪美佳と共に身長155cmダンスデュオ「ほうほう堂」として活動。独自のダンスの更新を試みる。2014年より個人活動開始。劇場での作品発表、川原、公園、美術館、道等、様々な場所でのパフォーマンスやワークショップ、他分野作家との共同制作を継続的に行ない、いくつもの関係性とそのやりとりから生まれる感覚や考えや動きを見つめ紡いでいる。2019年からだに対する小さな指示書をSNSで配信する「ひみつのからだレシピ」をBONUS(木村覚)と共同企画。「Whenever Wherever Festival」、「ダンス作戦会議」メンバー。2020・2021年度セゾンフェローI。2020年より山口県在住。
ⓒbozzo
振付アシスタント
ストウミキコ
[振付家]
桐朋学園短期大学芸術科演劇専攻卒業。“あなたと私のコラボレーション”をモットーに、映画やMV、おまつりなどの振付を手がけている。ジャンルの異なるアーティストや一般の人たちとの共同作品を多数発表。人間関係と出会いをテーマにしたワークショップを全国の小中学校、支援学校、大学、地域プロジェクトなどにて開催している。「TOYOTA CHOREOGRAPHY AWARD 2010」ファイナリスト。「第4回 キッズワークショップアワード」優秀賞受賞。
北島 由記子
きたじま ゆきこ
「人と地域を元気にする盆踊り実行委員会」代表、西麻布霞町町会理事・婦人部長、港区観光大使。主に港区の古いご当地盆踊り曲を発掘、保存、継承しながら港区と共催で盆踊り大会を2015年より開催。大規模震災発災時の共助・協助に繋げる縁作りのため、また認知症予防のためのご当地盆踊り曲を制作。練習会を開催。
Uni mama
ゆに まま
膳真由子、大島彩、市川喜愛瑠による現役ママ3人のユニット。「からだと仲良くなる」ために、正しい姿勢や楽しいエクササイズまで、自然とこども達がからだについての理解が深まり、からだが楽になれることをお伝えします。
小島 泉
こじま いずみ
高校生の時に友人に手話講習会に誘われて始めたのがきっかけ。子育てが落ち着き、5年前に港区社会福祉協会で開催された手話講習会を探して参加。初級、中級、上級、養成コース4年間参加。その後、田町の障害者福祉会館で毎週火曜日午後に開催されている手話サークル「て」にて活動。少しでもろう者の方にお手伝いや、コミュニケーションができたら、少しでも多くのかたに手話を知ってもらいたいという思いを持って活動中。
正木 清香
まさき さやか
幼少よりクラシックバレエを学ぶ。大学でフラメンコと出会う。2003年〜05年渡西。ANIF日本フラメンコ協会新人公演で「準奨励賞・話題賞」、マルワ財団CAFコンクールで「第3位」「コンセルバトリオ賞」をW受賞。現在都内で教室を開講。つくば国際美学院 講師。大道芸フラメンコグループ「オジロス」のリーダーとしても活動中。
平島 聡
ひらしま さとる
フラメンコ・カホン奏者。またパーカッショニストとして、各種演奏会やライヴ、レコーディング、演劇や語りの楽師、ダンス伴奏(コンテンポラリー、モダンバレエ、ホートン・テクニック・クラス、舞踏)など、多岐に渡る国内外での活動を展開している。
岩井 隆浩
いわい たかひろ
ダンスチームRhythmalismで活動。コンテストにて成績を残す。国内外で、治療院を経営し、ダンサーに治療を提供。「ケアクル」では、電子カルテのサービスを展開し、業界にITを持ち込んでいる。「芸術家のくすり箱」では、ドクターと共に医療チームを組み、現場にヘルスケアを届けている。
M. アシュラフ・バブリ
2009年3月、日本語と日本文化を学ぶためにアフガニスタンから来日。2011年7月、駐日アフガニスタン大使館に就職、様々な分野を担う。現在は大使館にて財務・総務部を担当。2017年頃からは、大使館での文化的行事や国際的なフェスティバル参加の際に、アフガニスタンの伝統的な踊り「アタン」を日本人に教えたり、一緒に披露している。
Mastana/上村 菜々子
ますたな/かみむら ななこ
画家とダンサーの2つの顔を持つ。生演奏での即興表現を得意とし様々な演奏者と共演、日本で唯一のアフガンミュージックユニット「ちゃるぱーさ」との共演を機にアフガニスタンの踊りに興味を持ち理解を深めている。
白波瀬 立
しらはせ りゅう
NPO法人カポエイラジェライス代表理事兼インストラクター。過去一年間の滞在を含む度々のブラジル修行を行う。2015年より赤坂、秋葉原にてカポエイラ教室を開講。英語とポルトガル語に堪能。
ファン・レイ
中国人民解放軍芸術学院中国舞踊専攻卒業。古典舞踊、民族舞踊など様々な中国舞踊を学ぶ。卒業後は国家級ダンサーとして中国の大規模な文化芸術公演に出演。国の代表として海外訪問活動にも参加。2009年の来日以降、様々な日中友好イベント活動に参加。2019年から東京STUDIO GEM GARAGEとコラボした「中国舞踊教室 」を開催中。
ADD港区
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